ゲイの一年 ~四季折々~

ゲイとしての今後の人生についてゆるーく考えていきたいと思います。

ゆうじボーイ、卒業します

桜がきれいな季節ですね。約1か月振りにブログを更新することにしました。


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最近ブログを書いていなかったのは、別にもうブログを書く必要はなくなったんじゃないかなと感じていたから。


ゲイブログカテゴリーを外してからは他のゲイの人と交流するツールとしてはかなり弱体化してしまったし、ブログつながりで新しい出会いを期待するということは特になくなった。

昔はブログを書くことで直接的にゲイの知り合いができなくても、間接的に自分と同じようにゲイとして悩む不特定多数の読者を少しでも勇気づけることができればいいなというモチベーションを抱いていたときもたしかにありました。自分の考えたことや経験が、どこかの誰かの心に響いてくれたらうれしいな、と。
ただ、最近はそんな慈善的な精神もすっかり息をひそめました(笑)。

ブログを書き始めた頃はゲイであることに不安定で見知らぬ人でも誰でもいいからとにかく共感してほしいというかまってちゃんだったんだけど、今はむしろゲイとして生まれたおかげで様々な年代や職種の友だちができて楽しく過ごすことができているから心が健やか且つ安定している。
どこかの誰かに向けたメッセージを書く暇があったら、身近につながっている人とのスケジュール調整に勤しむ方がよっぽど生産的な時間の使い方だなと思うようになったのだろうと自己分析しています。

そんなこんなでブログを書き始めた当初のモチベーションは、今現在のぼくのそれとは異なってきたのです。



が、しかし。

ブログを書き続けてきて、やっぱりブログを書いていてよかったと思うことは多々あるのでこのブログはまだしばらく続けます。(タイトルと冒頭文でブログをやめちゃうのかな?と勘違いさせちゃってたらごめんね。タイトルの件は後ほど……)


ブログを書いていてぼくが特にうれしいなと思ったことは、すでにリアルでつながりのある人たちがぼくのブログを遡って読んでくれて、ぼくのことをある程度理解してくれるという前提条件を見込めること。

ぼくの友人たちはほとんどが社会人で、会えたとしても週末に少し遊ぶというくらいなんだよね。会ったときには真面目な話をするときもあるけど、話題の大半はワイドショーのカルチャーニュース並みの軽いものだから、より深い部分としての価値観については語れなかったりする。
そんなときでも、ブログで自分の思いの丈を込めた文章を書き留めておいてtwitterにリンクを貼っておけば、大抵の人は読んでくれていて、次にあったときにちょっとしたリアクションをくれたりする。それがとてもうれしい。


みんな忙しいからこそ、会えたときにはきちんと心を通わせられるような話をしたい。ブログはそんなぼくの願いをちょっとだけサポートしてくれるツールだ!




―――

さて、本題に入りましょう(笑)。

「ゆうじボーイ、卒業します」の意味について。

自分で言うのもなんだけど、ここのところ老成してきたかなと感じている。って言ったら、「お前なんかまだまだ青二才のひよっこだ!」とお叱りを受けてしまいそうだけど、自意識として「もう今までのようにお子ちゃま扱いされたくない!」という気持ちになってきたんだよね。


ぼくは普段のお仕事では、子どもと関わることを生業としている。
大学生の頃から似たような活動を5年以上続けてきているんだけど、これまでは子どもと同じような目線で、一緒のレベルで遊んでいたことが多かった。だから、子どものおバカな言動も指導しきれておらず、上の立場の人からは「ゆうじはまだまだだ」という評価をされていることが常だったし、自分も若さにかまけてその評価に甘んじていた。

だけど、正職員として1年以上子どもと関わる仕事に責任感を持って携わってきた中で、ただその場を楽しく遊べばいいという享楽的なスタンスでいるだけではいけないんだなということを肌身で感じてきた。ちょっとしたケンカでもきちんと互いが納得いくまで話し合いをさせなければ問題は尾を引き続けるし、細かなことでも保護者や同僚に報告しておかなければ後々追求されて自分が追い込まれる破目に陥る。

遊ぶときは思いっきり遊びつつも、一歩引いた広い視点も持つ。これからはもっともっと大人としての余裕を持とうと思った。



「ゆうじボーイ」という名前はとある人につけてもらった。たぶん、遊戯王という漫画に出ているペガサスというキャラクターのセリフをパロッたものだと記憶している。
それはそれで割と嫌いじゃなかったんだけど、あと1か月もしないうちにアラサーになることを踏まえると、いまだに「ボーイ」と自称しているのはなんとなく幼稚な気がする。

ということで、名前を改名することにしました。


新しい名前の案 ↓

・ゆじ男
・ゆじ子
・ゆうじじぃ
・うじ虫
・ゆーじん

こんな感じのものをテキトーに検討してそのうち変えます。



最近は趣味趣向も少しオジサン化していて、マイブームは軽自動車を新たに購入するにあたってどの車種がいいのかリサーチすることと、YouTubeで中古物件の不動産投資について勉強すること。

物知りで頼もしいアラサーお兄さんになれるようにがんばります!

ゲイの読書サークルを辞めた話

1年半ほど加入していたゲイの読書サークルを辞めたので、その件についてちょこっと書こうかなと思います。




まぁ、いろいろあったわけなんですが、不特定多数の方が読むネット上に書くべきでないことが多分に含まれているので、そこら辺に関しては申し訳ないけれど省略させていただきます(ごめんなさい、そこが一番読みたいところだとは分かっています……)。

ただ、辞めた原因の直接的な理由には、ぼくがすごく嫌な思いをしたということには一応お伝えしたいなと思います。その嫌な思いをもたらす出来事があったとき、その原因の人物に対して、「それはやめてください」と伝えたのですが、適切な対応をしてくれなかったので、これは本当に無理だなと感じた次第です。




サークルを維持する上で大切なこととして「ケンカ・トラブルを起こさないように各自努める」ということは当然守るべき暗黙のルールだとぼくは考えていました。ただ、その人は自らケンカを起こすようなことをして、それでも当たり前のようにサークルを維持できると思っているところが、ぼくの価値観と異なります。


ゲイの人って、アプリで会って相性が合わなそうだなと感じたらすぐにブロックしたりして関係性を断ち切るということに慣れているから、今回のようなこともへっちゃらだったりするのかなって思ったりもしました。
けど、ぼくの身の回りにはそうではない信頼できるゲイの友だちもいるから、そんな風に決めつけちゃうのも良くないよなと思い直しました。




今回のサークルの脱退は自分的には円満だったと思うのですが、それができたのは、一番信頼できるサークルのメンバーに相談してから行動に移したからです。

その人がLINEで言ってくれた、「今までまったく楽しくなかったわけじゃないよね?」という趣旨の言葉が心に響きました。たしかに、サークルの初期には心から楽しいなと感じていたときがあったことは事実だし、そのすべてを台無しにしてしまうような辞め方をするべきではないなと考えを改めました。



その後、シンプルに「勉強に専念したいから無期限休会したい」とだけ書いてLINEグループを抜けたところ、個別LINEで「また遊ぼう」と声をかけてくれた方もいました。そこで声をかけてくれた人は本当にぼくのことを想ってくれているのだなとうれしかったので、彼らのことは今後も大切にしていきたいなと思いました。



そんな感じでゲイの読書サークルを辞めた話を終わりにしたいなと思います。



<さいごに>

ゲイの読書サークルの脱退に伴って、はてなブログのゲイブログカテゴリーの登録も外すことにします。公開から1週間後くらいかな。ブログはまだ続けるつもりでいます。

おわり

職場でカミングアウトしてみた

今朝、職場でカミングアウトしてみました。

といってもそんなに重苦しい雰囲気ではなく、割とフランクになんとなく言ってみたという感じです(笑)。

人として、ゲイとして、また一歩成長できたかなという出来事だったのでブログに残そうと思います。



―――

まず、カミングアウトしたタイミングについてですが、常勤職員が集まる職員会議の前の職員礼拝の時間を利用しました。

ぼくの職場はキリスト教の思想をベースとしている福祉系の法人を母体としているので、毎週職員会議の前には職員礼拝というものをします。具体的には聖書の一部を引用したものをみんなで一行ずつ輪読し、館長がその聖書の箇所にちなんだ話(奨励)をして、最後にみんなで讃美歌を歌うという簡単なものです。

職員礼拝では、月に一回、常勤職員が奨励を担当することになっています。10人ほどの常勤職員が奨励を持ち回りしているので奨励の順番が回ってくるのは年に一回なのですが、2月がちょうどぼくの順番だったのです。




奨励では、各職員が割と自由に話をしています。自分が仕事を始めるきっかけになった出来事について気軽に話している人もいれば、他の職員にも共有したいことを真面目に語る人もいます。




ぼくが奨励を利用してカミングアウトしてみてもいいんじゃないかと思った理由には2つあります。


まず1つめは、以前別の職員が話していた奨励の内容のインパクトが大きく、心に強く響くメッセージとなったので、自分もそういった話をしてもいいんじゃないかなと思ったからです。

その職員は50代の女性なのですが、普段は弱気を漏らすことも少なく、責任感強く残業も厭わず働いている方だなと感じていました。なんとなくの情報として、これまでシングルマザーとして子育てしてきて、今は娘さんと二人暮らしをしているんだなということは知っていたのですが、プライベートについて話したことはほとんどなかった状況です。
その方が奨励で話した内容はというと、昔結婚していた男性からDVを受けていて、娘にも危害を加えられそうだったから、母子シェルターなどを利用してなんとか逃げてきたという過去についてでした。その職員の苗字が実は本名ではないということをそのとき初めて知り、衝撃を受けたこともよく覚えています。

自身にそのような暗い過去があったにも関わらず、現在は他の家庭や子どもを支援するために働いているという事実に少なからぬ尊敬の念を抱きました。



もう1つの理由としては、ちょうど数日前に区が主催する人権研修を受講してきたということも大きなきっかけでした。

ぼくの勤務先は某区の施設の指定管理の下にある児童福祉施設なので、その区が主催した指定管理の職員を対象とした研修を受ける機会があるのですが、内容がまさに「セクシャリティの人権」を含んだものでした。
ぼくは今まで、公的な立場にある人がセクシャルマイノリティについて話すという場に顔を出したことがなかったので、今回の研修で「自分も安心して暮らせる時代が来るかもしれないな……!」という風になんとなく感じられました。

人権研修の感想を他の職員にシェアするという建前で、「実は自分もセクシャリティで、こういうことに困っていました」ということをついでみたいな体で話してみてもいんじゃないかと思いました。





そんなこんなで職員礼拝の場でカミングアウトすることを決意したのですが、一応問題点はあります。それは、聖書には同性愛について批判とも解釈できる文面が載っているということです。

ただ、これまで一年間働いてきた中で、ぼくがゲイだと言ったところで態度を悪くするような人はいないだろうと自分なりに判断したので、この機にぶっちゃけることにしました。
元々、いろいろな家庭の事情や子どもの性格・特性についていろいろ情報を共有したりする機会が多い職場なので、ぼくがゲイだと言ったところで、だから何だという程度のリアクションだろうということも感じていました。「〇〇くんに発達障害の診断が出た」とか「△△さんの別れた父親は受刑者だから偽名を使っている」とか、そんな情報と比べたら、職員の一人がゲイだなんて屁みたいなことですよね。


また、自分は早かれ遅かれ、近い将来には転職するということを心の中で決めているので、ぼくがゲイだとカミングアウトしたことで差別されたなら、それまでの会社だったんだなということで、早々に見切りをつけるんだろうなというくらいに思っていました。




とにかくそんな感じの背景があってカミングアウトしたのですが、実は内心かなりビクビクしていました。カミングアウトではどうしても「ゲイ」という単語を使えなくて、「セクシャルマイノリティ(の当事者)」という形でぼやかして話しました。

「ゲイ」という言葉の持つ強さにはまだ正面から向き合えないですね……。

すごく昔にブログに書いたかもしれないけど、以前ゲイが男児をわいせつしたということでゲイに対してかなり強い不信感を持っている業界に勤めていたことがあり、今の子どもと関わる仕事でも「小児性愛者」的なイメージを持たれてしまうことがかなり怖いなという思いをいまだに持ち続けています。

今の職場ではそういった偏見を持つ人はいないだろうなと思っていますが、いつかそのような思想を持つ人が混じってくることも考えられるので、常にカミングアウトには慎重を期したいなと思います。




カミングアウトした結果はというと、カミングアウト前と特に変化はないという感じです。

そもそもぼくは職場でプライベートのことを話すということがほぼほぼなく、基本的に無口キャラなので、カミングアウトしたからといってわざわざ詮索するために話しかけてくる人もいなかったです。
寂しいといえば寂しい結果なのかもしれないのですが、ありのままのぼくを知ってもらい、その上で自由に放っておいてくれる(恋愛や結婚の話をわざわざこっちに振ってこないという)という環境はぼく的にはとても居心地良いなと感じます。


仕事上の付き合いなので、それ以上深い付き合いはしていくつもりもないので、必要最低限のぼくの扱い方を職場の同僚たちに知ってもらえたという点で、今回のカミングアウトはとても有意義だったのかなと思います。


おわり

「プラトニックでもいいよ」と言ってくれる人と付き合いたい

ブログを更新するのはすごく久しぶりな気がします。



2019年に入ってからキャンプも登山もスキーもして、ブログのネタはいろいろあったんだけど、パソコンの調子が悪かったのでなかなか記事にできていませんでした。


1月の上旬頃からパソコンがなんかインターネットに接続できなくなったなぁ~ってなって、そのうちスマホWi-fi接続できなくなっちゃって、これはおかしいぞって思ってたんだけど、インターネットがなくても案外1~2週間は平気で暮らせたりするものです。まぁ、スマホWi-fiがなくてもインターネットに繋がるし。

それから休みの都合が合わなくて修理に出す時間もなく、インターネットが繋がらないという状況が続いてました。もちろん、自分ができる範囲で直そうとトライしたんだけどうまくいかなかったので、しばらくしてからようやく家電量販店に相談に行きました。
パソコン無料相談員さんに診てもらったところ、「パソコンもWi-fiルーターも異常ないですね」という診断結果でした。あとは、「プロバイダの回線装置側に問題があるかもしれないので、プロバイダに問い合わせるしかないです」ということになり、これは面倒くさいことになったぞと思ったんだけど、「ちなみに、ルーターのリセットは試しましたか?」と言われて、そういえばそれは試していないことに気づきました。

自宅に戻って、ルーターの爪楊枝みたいな細長い先っぽで押さないといけないような小っちゃいリセットボタンを押したらこれがビンゴ!やっとこそさインターネットに接続することができました。

どうやら兄がiPadとかPS4をぼくのルーターに接続したため、ルーターの内部の設定が混乱しちゃってたのが原因なのかなと思います。リセットボタンを押すだけで長い期間不便だったことが解決するんだったらもっと早く試せばよかったなぁ~と感じた出来事でした。




―――


はい。いつものごとく話題が逸れまくっていますが(笑)、最近のぼくのゲイデンティティについてちょっとだけ書こうかなと思います。


このことは書くかどうか迷っていました。これから話に出す方は99.9%の確率でこのブログを読んでいないのだろうと確信しているのだけど、もし万が一その人が読んでしまったら少なからずショックを与えてしまうかもしれないなと思ったので。ただ、ぼくにとってはすごくインパクトの大きなことだったので、このブログで書いて気持ちを整理させてください。



先日、エッチな体験をしました。

した、というか、された、という表現の方が正しいのかもしれません。しかし、最初のきっかけが相手だったのは確かだけど、自分から手を出したという部分も否めないので、まぁその点についてはとりあえずこれ以上言及しないことにしたいと思います。


あんまり詳細を書くと身近な人に誰か特定されてしまうのでうまく書けないんですが、状況としてはぼくの意識が朦朧としているときに、相手の方から手を出してきたというのが事の始まりです。

ぼくは相手の方(もちろんゲイ)に対して、人として少なからず好意を抱いていました。それを冗談半分で口に出して伝えることもあったし、それが相手を誤解させるきっかけを作ってしまったので、自分にも反省点があったのだと今では思います。
ただ、その人とは本気で性的なことをしたかったわけではなく、そのエッチな体験はぼくの意図した行為ではなかったのです。


その人のことを”人としては好き”だけど性的なことはしたくないという理由としては、まず相手の方にパートナーがいるということが挙げられます。また、そのこと以上に大きな理由として、自分自身がまだ性的なことにはまだ踏み出したくないなという戸惑い・恐れがあったということもあります。


とにかく、意図せずちょっとエッチな行為をしてしまったことにより、結果として後悔と自己嫌悪に苛まれました。あと、とにかくその人との関係が気まずい。

別に恋人でもない人だし、というかその人にパートナーがいるし、笑いのネタとして昇華することもできない黒歴史と化しちゃってるから、なんでもっとあのとき本気で拒否しなかったんだろうって思います。


……という、ここまでが一連の出来事とそれに対する心情でした。



ぼくは初めてこのようなゲイ同士の仲間内で、大したことではなにしろ、性的接触を持ってしまったので、戸惑いがかなり大きかったのですが、ゲイコミュニティでは割とあるあるなのかもしれないなと思ったら少し気持ちを切り替えることができました。

この経験を通じて学んだことは、恋人でもなんでもない人とエッチな行為をしてしまうと後々になって後悔や自己嫌悪に苛まれる可能性大だから、その人とその後どんな関係になっていきたいか、一旦理性的に考えてみて、それでも大丈夫だったのならエッチな行為を続行すべきだなと思いました。もちろん、その場の流れや欲の強弱によってはどうにも止められないときもあるのだろうけれど……(笑)。



ぼくは最近、恋愛的なことからかなり遠ざかった生活を送っていて、それはそれで割と楽しく過ごすことができているのだけど、そのうち仕事とか勉強とかが落ち着いたらまた「恋人を探す」ということに本気で取り組むときが来るのだろうと思います。

ぼくの場合、何度考えてみても男性とのエッチな行為は恋人関係において必須項目ではないんだよね(手をつないだりハグしたりはしたい)。それよりも何よりも、心理的な絆とか愛着があるとか、そんな恋人と将来的なビジョンを語ったお付き合いがしたいと考えているんだけど、我ながら重いなぁ~(笑)。



今求めていることとしては、ゲイに限らず、Aセクとか、FtMゲイとか、そういうセクシャリティの方も含めて、エッチ抜きでも真剣にパートナーを探している人に会って話を聞いてみたい感があります。別にゲイじゃなくても、相性が良ければプラトニックな良い関係を築いていけそうかなと。ただ、相手の見た目は男じゃないとダメだから、自分はやっぱり生粋のゲイなんだよね。


どこかでプラトニックなゲイ男性の集いを開催してないかね?それか、そのうち自分で主催しちゃおうかなと考えている今日この頃です。


おわり

【ゲイ体験談】塾での出来事

ちょっと前にゲイ体験談を書いて某サイトに投稿したのですが、なんとなくこのタイミングで公開してみることにしました。(※エロ注意)



―――

ぼくがまだゲイだということを自覚していなかった無邪気な中学生だった頃の話。

 

あの頃のぼくは高校受験を間近に控え、中学と学習塾を往復する毎日だった。来る日も来る日も勉強。学校の授業を受けて、家に帰って宿題をやり、それから塾で受験対策講座を受ける。頭の中はいつも英単語や難読漢字、数学の方程式でいっぱいだった。

 

ただ、そんな勉強中心の生活を送っているとはいっても身体はいたって健康な思春期男子。性欲は今の数倍は強かったんじゃないかと思う。授業中に股間がいつの間にかおっきくなって、ズボンの前が窮屈になることは日常茶飯事。とにかくいつも股間が熱くて、その一点に意識のすべてを吸い込まれてしまうということがぼくの日常だった。

 

 

ある日のこと。

 

その日はいつも通り中学から帰って軽食を摂り、夜の時間の塾の授業に出たと記憶している。まだ受験が差し迫っていない暖かい季節だったからだろうか、その日に限っては特に股間の衝動が激しかった。

 

ぼくの通っていた塾では2人掛けの長机を使っていた。前後の机の感覚は狭く、後ろの机を背もたれのようにくっつけられるほどの密着具合。椅子も2人がようやく一緒に座ることができる長さで、間にカバンを置いたらスペースがなくなってしまうほどだった。

 

そんな窮屈な環境がぼくの性衝動を後押ししたのだろうか。ぼくは自分でもどうしようもできないくらい、隣に座っている男の子の股間を触ってみたくなった。隣に座っている子は、違う中学に通うツルタくん(仮名)。ツルタくんは白い肌に黒髪短髪を備えていて、特別に男前というわけではなかったけれど、純朴な若い男の子っていう感じのかわいい子だった。

 

 

ぼくは最初の一手を覚えていない。ゲイだと思われて気持ち悪がられないだろうかとか逡巡した記憶も一切ない。ただ何も考えず、無心でツルタくんの股間に手を伸ばした。

 

ツルタくんは特に大きなリアクションをとらなかった。ぼくの方を一目チラっと見たかもしれない。ただそれだけで、ぼくの手は彼の股間に受け入れられた。そこから、ぼくと彼の暗黙の合意が出来上がったのだ。

 

 

ツルタくんにはぼくの股間を触り返さなかったから、たぶんゲイではなかったんだと思う。だけど、彼はぼくに触られることに対して抵抗をしなかったから、そうされることに気持ち良さは感じていたのだろう。

 

 

その日を境に、ぼくたちの秘密の遊びは始まった。授業が退屈になったり講師が板書をしているタイミングで、ぼくはツルタくんの股間にこっそりと手を伸ばす。ズボンの上にそっと手を置き、彼の股間の形を手で感じる。それから少しだけ竿に沿って動きをつけてみたり、あえて太ももに手を置いて焦らしてみたり。

 

いけないことをしているということは分かっていた。ただ、何がどのようにいけないのかの理由を深く考えないようにしていたし、その愉しさを失くしてしまうということは若いぼくたちにはできなかった。

 

 

だけど、楽しい日々もいつかは終わりを迎えてしまう。ぼくは一線を越えてしまったのだ。

 

いつものようにツルタくんの温かくてやわらかい股間に手を伸ばしていたぼくは、もっと直に触ってみたい、たくさん触ったどうなるのか最後まで見てみたいという気持ちが抑えきれなくなっていた。

だから、本能の赴くまま、彼のズボンの中にまで少しずつ手を差し込んでいった。手元はまったく見えていないから、想像だけで中に入っていく。ここにチャックがあるから下ろそう、パンツの前ポケットはここかな、という具合に。そうしてとうとうツルタくんの生の部分にたどり着くことができた。

 

初めて触った生のモノは、ペタペタと湿気を帯びた触感だった。そして肌にまとわりつくような質感。男特有の臭いで満たされたそこを手の感触だけで探検することは非常にワクワクした。まずは竿を一通り感じた後、玉の方まで手を伸ばした。皮の薄さやピロピロと伸びる柔軟性を堪能した。

それから、今まではやらないようにしていた竿の前後運動もしてみた。すると、少しずつ大きさは増し、ツルタくんの呼吸にもやや乱れが生じ始めた。ぼくはそれがとても楽しくなった。楽しくて楽しくてどうしようもないほどで、だからついついやり過ぎてしまった。このまま彼がイッてしまってもいいのではないかと。

ぼくはラストスパートをかけようと、彼の竿を握る手に力を入れた。ただ、そこでぼくの手の動きは抵抗する彼によって阻まれてしまった。さすがに授業中だからとぼくも思い直し、それからは何事もなかったかのように前のホワイトボードに意識を向けた。

 

 

それからぼくとツルタくんの間ではなんとなく気まずい雰囲気が流れるようになり、彼の股間に手を伸ばすことができなくなってしまった。その後、クラスの編成が変わり、ツルタくんとはいつの間にか疎遠になってしまった。

 

 

 

あの日、あそこまで攻め込まなければよかったかなと思う一方、そこで終わることができてよかったのかなと今になって思う。ツルタくんとの秘密の遊びを失ってからのぼくは勉強に打ち込み、見事第一志望に合格することができた。

 

ただ、あの日の経験があったからこそ、ぼくは男の体のおもしろさを知ることができた。それがぼくのゲイとしての人生に影響を及ぼしたということは言うまでもない。おわり

【創作小説】旅はつづく②

 

「……」
 沈黙。もしかして読み間違えたか? 一瞬のうちに彼がゲイではないことによって生じるであろう不利益が頭を占めたが、すぐに彼が口を開いてくれた。
「あれはバーと言うよりは、クラブじゃないですか?まぁ、カウンターで酒を飲めるからバーと言えなくもないですけどね」
 どうやら件の店の形態をバーと表現してよいものか悩んでいたらしい。まぁ理由はどうであれ、彼がゲイだと分かれば話は早い。そこからは自分の保身を気にせず話を掘り下げていくだけでよかった。


 彼の話を聞いていくと、どうやら彼はゆうきより2つ年上の26歳で、名前をさとると言うそうだ。普段は恵比寿の飲食店に勤めており、仕事帰りによく新宿二丁目に繰り出すらしい。ゆうきと出会った経緯としては、二丁目のクラブイベントで飲み、酔っぱらった勢いで友人宅に押しかけたとき、メンバーの1人として彼も交じっていたとのことだった。ゆうきもたしかにそのような出来事があったことは覚えているのだが、そのときはかなりの大所帯だったために、彼のことは記憶からすっぽりと抜けてしまっていたようだ。

 

 さとるは二丁目に関してはかなり情報通なようで、間もなくして、頼んでもいないのに話題は下世話なゴシップへと移行した。それに従い、彼の口調もすぐにくだけたものになった。
 「あのときシマって人がいたじゃないですか? メガネをかけた背の高い。あの泊まりがきっかけで少しだけ付き合ったんすけど、オタク過ぎて速攻で別れちゃいました」
 「へぇ、そうだったんですか」
 「夜はめっちゃ相性良かったから、その点に関しては申し分なかったんすけどね~」
 唐突に知人の知られざる一面を暴露され、ゆうきは微妙な心持ちになった。さとるは話し方がうまく、どんどん引き寄せられるのだが、内容はというと、聞けば聞くほどその股のゆるさに幻滅せざるを得ない。ノンケ同士だったらほぼ初対面の相手に対してそこまで赤裸々に性事情を話さないのではないだろうか? ゆうきはそう思うのだが、ゲイの世界ではその常識は通じない。彼の話題はその後、最近ヤッた中で一番気持ち良かったセックスの話に移り、その饒舌振りは加速する一方だ。さすがのゆうきも長時間の傾聴に疲れてきて、腕時計をあからさまにチラ見するという合図を出し始めたころ、ようやく彼もしゃべり過ぎたことを察したらしい。
「すみません、俺ばっかりしゃべっちゃって。いやー、こんなところでこっちのお仲間と会えたことがうれしくてつい。ちなみに、もしよかったらこれから俺の部屋に来て飲みませんか? ゆうきさん結構イケてるし」
 少し迷ったものの、せっかくの一人旅だからと、彼の誘いを丁重に断ることにしたのだが、
 「そっすか。まぁ別にそれならいいす。明日も朝から出雲で元カレとヤル予定だし。そんじゃもう部屋戻りますんで。では!」といったあっさりしたもので、そこからは1ミリほどの口惜しさも感じられなかった。彼は別れの挨拶もそこそこに、あっという間に部屋へと戻ってしまった。


 ゆうきはまるで激しい嵐が一瞬のうちにおさまったかのような急激な静けさに戸惑った。
「黙ってればイイ男なんだけどな……」ボソッと口にすると、すぐにその場から立ち上がりラウンジを後にした。

 


3,旅はつづく

 

 自室に戻り、倒れ込むようにベッドに身を委ね、今日という1日を振り返った。長くて濃密な時間だったと感じていたはずなのに、これといって強く心に残ることなど何一つない。どうやら車内で会った男とのやりとりは、自分にとってまったく価値を持たない出来事だったようだ。体は鉛のように重たいが、そのまますぐに眠りにつけるほど心穏やかな状態ではない。ポケットからスマホを取り出し、Twitterに夕食の写真と、簡単な説明文をアップする。

 

――一人旅なう。サンライズ出雲、めちゃくちゃ快適~!ただ、車中で昔の知り合いと会って複雑な気分になったww

 

スマホを枕元に投げ出すと、途端に現実に引き戻された。あぁ~、自分、今何やってるんだろう? 待ち望んでいたはずの一人旅だったのに、急激な虚しさに胸が満たされていく。
 明かりを消し、回転する車輪の振動を背中に感じて窓の外を眺めた。見える世界には散らばるように冬の星空が広がっている。羽毛がたっぷり詰まったマットのぬくもりを肌に感じているはずなのに、外の冷え込むような寒さが窓を通じて伝わってくるかのようだった。

 

 ピコン♪
ゆうきのスマホにLINEの通知が届いた。

 

――これから出雲なんだってな!夜行列車はなかなか寝付きにくいらしいから、早めに布団に入った方がいいぞ~。昔の知り合いとは何かあったのか?(笑)

 

 どうやら想い人くんが、先ほど発信したtwitterのつぶやきに対してコメントを寄越してくれたようだ。ゆうきに言わせると、こんな遅くまで起きているお前の方こそ早く寝ろよな、といったところだ。だが、スマホを手にしたゆうきは、先ほどまでのメランコリーなどまるでなかったかのように想い人くんのLINE返信をどのように書くかで心がそわそわしだした。twitterのリプライが不特定多数に読まれるのを恐れ、わざわざLINEでメッセージを送ってくる。なんでいつもLINEにtwitter読んだ感想を送ってくるかね? あぁ~、めんどくさいめんどくさい。口ではそう呟きながらも、フリック入力するゆうきの指の動きはとどまるところを知らないようだった。

 

――思っていたよりも清潔で快適だよ。一昔前の夜行列車のイメージとは全然違う。今度乗ってみたら?
――何かあったといえばあったけど、もう自分の中では解決したことだから大丈夫。心配してくれたその気持ちがうれしいよ。ありがとう!

 

 

 ――そかそか!お前が大丈夫なら良かった。
 ――そんじゃ、一人旅楽しんでな!お土産は赤福朔日餅でいいから(笑)

 

 

 赤福朔日餅なんて日程的に買えるわけねぇじゃん! 心の中のツッコミは口先まで出かけてそのまま消えた。想い人くんだってそんなことは端から分かっているであろう。ただ単にゆうきをからかっているだけなのだ。
 想い人くんとのやりとりはゆうきの荒れていた心を安らげてくれた。だがしかし、それと同時に、想い人くんのことが好きだという気持ちが再び抑えきれず、ゆうきの内側に深く浸透していった。

 

 人を好きになるという感情はなんと罪深いものなのだろう。ときには恋をしてしまったがために傷つくこともあるだろうし、ベクトルの向かう方向が異なってしまうとそれは怒りや憎しみへと変化するかもしれない。ゆうきはどれだけ考えてみても、この恋路の行く先に何が待ち構えているのかさっぱり分からなかった。やはり出雲に集まった八百万の神様たちに1人ずつ聞いて回るしかないのだろうか?
 今後どのように転んだとしても、想い人くんとはセクシャルな関係性を築くことはないだろう。分からないことだらけの現実においても、そのことだけは確実だ。だけど待てよ? 性的なつながりがなければ真実の愛じゃないなんて誰が決めたんだ? ――いや、それを決めていたのは紛れもない自分自身なのだろう。車内で出くわした男との遭逢が、ゆうきに新たな気持ちの変化をもたらしていた。


 大学を卒業して職場がバラバラになってからも、想い人くんにとってゆうきは大切な友だちの1人であり続けている。それはもちろんゆうきにしても然り。そしてその関係は今後何が起ころうとも変わらないという自信がある。なんといっても、あいつは信頼に足る男だし、それが彼のことを好きな一番の理由なのだから。


 ゆうきの恋心はどのように昇華されていくのか、その処遇についてはさておき、今後もSNSでの何気ないやりとり、月に一度の飲み会など、想い人くんとの時間を今まで通り全力で楽しんでいくことに変わりはないんだろうなぁとぼんやり思った。

 

 ……ところで、一体今は何時だ? 深い思考の世界にどっぷりとハマっていたゆうきは時間認識能力を失ってしまっていたようだ。窓から見える空はいつの間にか赤紫色に染まっている。列車の進行方向の後ろ側へ目をやると、赤紫からオレンジへと徐々にグラデーションとなっている。どうやら後方ではすでに朝日が昇り始めているようだ。ただ、これ以上首を伸ばしたところで朝日を直接目にすることはできなかった。
「おい、サンライズ見えないじゃねぇかよ!」
 列車名の不誠実さに対するゆうきの鋭いツッコミは、夜明けの冷たい空気に染み入るようにして消えていった。冬の太陽が世界を煌々と照らし、ゆうきの眼前に現れるのはまだしばらく先のことになりそうだ。出雲に着くまでには早い。ゆうきは布団に潜り、目を閉じることにした。おわり

 

 

 

※注)実際の「サンライズ出雲」の車内からは朝日を見ることはできるそうです。

 

【創作小説】旅はつづく①

読書サークルの活動の一環で小説を創作しました(くだらない内容です)

 

 

1,出発

 

 最強寒波が来たと同僚たちが口々に噂していた、凍えるような金曜日の夜。表参道にある職場を冬に舞う枯れ葉のようにひっそりと立ち去ったゆうきは、JRと地下鉄を乗り継いで半時間とかからず東京駅に到着した。表情にはそれまで休暇を取得するためにこなしてきた激務をものともしない、清々しさで満ち溢れていた。


 これから出雲往きの寝台特急に乗って出雲大社を目指す。かれこれ半年以上前から立てていた計画だった。特に信心深いわけでもないゆうきがなぜ出雲大社を目指すのか、そこには特にこれといった理由はない。強いて挙げるとするならば、出雲大社には全国各地の神々が集合すると云われているからだろうか。もちろん、自分のことを神だと自惚れているわけではない。ただ、なんとなくではあるが、八百万の神々と同じ時期に同じ行動をして集団の一員のように紛れることで、自分も神と同じような存在になれるかもしれないという奇妙な妄想を実現させようと思い立ったのだ。


 ゆうきには長い間ずっと恋焦がれてきた想い人がいる。大学生の頃にたまたま入った演劇サークルで知り合い、履修登録した授業の多くが重複していたことがきっかけで急接近した人物だ。ただ、この恋路には1つだけ問題がある。それは、その想い人がおっぱいではなくおちんちんを持っているということ。つまりそいつは男だ。そしてゆうきも、紛れもなく男である。男同士の恋愛というのは、現代日本社会ではまだまだ公に認められていないタブーで、それはまるで出口のない迷路を彷徨い続けているように無意味な行動原理だ。ただ、それでも彼のゆうきに対する親密な行動の1つひとつを思い浮かべると、いつかこの想いが届くのではないかという期待を拭い去ることはできなかった。願わくは、彼の気持ち、心の機微、趣味趣向、感情の動き、それら1つひとつをまるで全能の神のように知りたいということ。出雲往きのチケットは、そんな思い人のすべてを知ることができる、内なる世界への入口につながっているのだ。


 日本で毎日運航する寝台列車は「サンライズ出雲」と「サンライズ瀬戸」の2本だけだと知ったのはつい先日のことだ。たまたま見ていた夕方のニュースの20分弱の放送枠で、無名の女性タレントがむやみやたらに高いテンションで紹介する特集だった。夜行バスより夜行列車の方が自由に歩き回れるからエコノミー症候群にならなそうだという安直な理由で漠然と乗ってみたいと思っていた夜行列車が、今や絶滅の危機に瀕している。価格や利便性で太刀打ちできなくなった時点で衰退していく様は、これから老いて魅力を失っていく自分と重なって見えなくもなかった。


 仕事帰りの疲れた顔を浮かべるサラリーマンたちに囲まれて、これから旅に出かける優越感でほくそ笑みながら、駅弁とビールを購入する。もちろん食後のスイーツとしてリッチミルクをたっぷり使った高級プリンをカゴに加えるのも忘れない。そんなこんなで重くなった手荷物を掲げ、発車間際の列車にジャンプするように足を踏み入れた。

 

 


2,出会い

 

 乗車してすぐ、自分の部屋であるシングルルームに入室した。室内は列車の中とは思えないほど清潔で、ビジネスホテルと比べても遜色ないほどアメニティが豊富に取り揃えられていた。想像よりもくつろげる空間だったため、思いがけず、
「彼氏と来たかったなぁ~」
と呟いてしまったのだが、予期せず大きな声になってしまったため、廊下を通りがかった女子大生風の若い女2人組に聞かれたのではないかと肝を冷やす羽目になった。それからしばらくは仕事着のまま備え付けのベッドに横たわり、旅の始まりを迎える喜びを噛みしめた。時計を見ると、間もなく23時を迎えるところだった。
「やべっ!早く食わないと確実に太るな…」
 睡眠時間までにとりたい食後の時間を逆算し、弁当とビールとプリンの入った袋を抱え、駆け足でミニラウンジのある車両へと向かった。入って手前の壁際の席に腰かけると、列車はちょうど街の明かりが煌めく様子を一望できる高台に出たところだった。弁当にセットでついていた豚汁は意外にも熱々を保っていた。「特別なスープを あなたにあげる~♪」と、昔流行った歌を心の中でリピートしながら一心不乱に食事した。

 

「仕事帰りですか?」
 満腹で夢見心地に車窓を眺めていたため、誰に話しかけたのか瞬時に判断できなかったが、相手はゆうきの顔をまっすぐに向いているから、どうやら自分が話しかけられたようだと気づいた。見たところ、フレッシュマンと言っても遜色ない若い男が座っている。20代前半といったところだろうか。きれいめなグレーのジャケットに合わせた山吹色のカーディガンからは人柄の良さが感じられた。手首に付けたシルバーの腕時計はゴツくて重そうだ。右手で持つシャープなスマホからは、今しがた仕事のメールでも打っていたかのようなどことなく高雅な雰囲気が漂うものの、見方によっては流行りのゲームアプリに熱中していたように見えなくもない。短い髪を垂直に立てるようにセットされた髪型には清潔感があり、日に焼けたら真っ赤に染まるであろう生来の白い肌によく似合っていた。


 ゆうきはどのように答えるべきか思案した。いくら旅情溢れる寝台列車の車内とはいえ、見覚えのない人物と会話することには少なからず抵抗があった。ただ、同年代の男が話しかけてくれたことに胸が躍ったことは否定しようのない事実だ。それに少し好みのタイプだし。考えた末に出した苦肉の返答は、
「仕事帰りと言えば仕事帰りですね」という、なんとも歯切れの悪いものだった。そんなゆうきの逡巡など知る由もないお相手は、特に気を留めた様子もなく本題に入った。
「そうですか。すみません、急にお声かけして。実はあなたと以前お会いしたことがあるかなと思って……」
 突然の告白にゆうきは戸惑った。改めて相手の顔をじっくり観察してみたものの、特にこれといって記憶に引っかかるものはない。すぐにでも彼の素性を知りたいという欲求に支配されそうになったが、しかし、彼に覚えていないと素直に伝えることも危うい。そこでゆうきは、とりあえず場つなぎ的な会話で間をつなぎ、彼とどこで会ったのかヒントを探ることにした。
「いやー、その節はどうもお世話になりました」
「いえいえ、こちらこそ」
「もしかして、イメチェンしましたか?」
「あっ、そうなんですよ。気づいていただけてうれしいです。じつは最近、フェイシャルエステに通い始めて…。あごのラインが以前よりシャープになったとよく言われます」
男から突如として発せられた「フェイシャルエステ」という単語からは穏やかながらも強い自覚が感じられ、もしかしたらこっち関係の知り合いなのではないのかと勘ぐった。ジャケットスタイルのややビジネスライクな服装と態度からは判然としないものの、その可能性は十分にありえる。
「どうりで! 肌がきれいでうらやましいなと思っていたんです」
 さりげなくアピールを挟むことも忘れない。
「それはそうと、今回はどちらへいらっしゃるのですか?」
「どこかへ行くというよりは、この列車に乗るということ自体が目的ですかね。揺れる車内で寝たら、ゆりかごの中にいるような気分を味わえるのかなと思いまして」
 彼はどうやら疲れているらしい。それは都会の生活に揉まれるゆうきとて相違ないが、夜行列車に乗ることだけが目的とはめずらしい。しばらくは当たり障りのない会話を続けていたが、相手もゆうきの名前を思い出せないのか、薄い話題だけに終始する勢いだった。このままでは埒が明かないと悟ったゆうきは、思い切って尋ねることにした。
「二丁目のバーですよね?」

 

 

つづく